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新潮文庫ベスト100
新潮文庫の100冊
*** コメント (2025)***


新潮文庫の100冊
(2025年)

○配列
  • シビレル本 (19冊) (2024年は20冊)
  • 愛する本 (19冊) (2024年は19冊)
  • 考える本 (19冊) (2024年は19冊)
  • 泣ける本 (22冊) (2024年は18冊)
  • ヤバイ本 (19冊) (2024年は20冊)
****** #各ジャンル内の作品はランダムに配列

★新規採用作家

●復活した作家

▼交代した作家#は10年以上継続して採用されてきた作家

○コメント
  Web上で事前にアナウンスされていたとおり、2025年7月1日に公開された今年(2025年)の「新潮文庫100冊」のWebサイトをみると、今年の「100冊」を紹介するページの他に、フェア小冊子のダウンロード、「新潮文庫Tik tok」動画、「QUNTA PARK」(書店員向けサイト)が開設されています。

 今年
(2025年)も近所の書店で手に入れた「100冊」のパンフレット表紙には虹の上に座って本を読むキュンタが描かれています。キュンタの横には今年のキャッチフレーズ「こころめくるめく夏がきたっ。」が書いてあります。パンフレットに書かれたこのキャッチフレーズを注意してみると、現在(2025年)価格の高騰で社会的な話題にもなっている「こめ」という言葉が(偶然なのか狙ってなのかはわかりませんが・・・)縦書きでみえます(私は「多少は狙っているのでは?」と想像しています・・・というのは、昨年(2024年)から掲載されているパンフレット巻頭の言葉の各行最初の1文字を下から順に並べていくと、「あい[愛]と恋、そこかこい[そこ、かっこいー]」となります。偶然にしては出来過ぎではないでしょうか?)
 昨年までのパンフレットにはキュンタとともに登場していた本屋のおじいさんの姿は、今年のパンフレットにはどこにもありません。引退
(書店は閉店?)したのでしょうか?(今年(2025年)の100冊のWeb pageの「QUNTA PARK」(書店員向けサイト)にはキュンタの過去のStoryが掲載されていて、そこにはおじいさんがいます・・・)

 今年
(2025年)の「100冊」は、昨年(2024年)と比べると、各ジャンルの配列が多少変わっています(昨年(2024年)は「愛する本」、「シビレル本」、「考える本」、「ヤバイ本」、「泣ける本」の順でしたが、今年(2025年)のジャンル配列と冊数は下記のとおりです)

  シビレル本
(19冊) (2024年は20冊)
  愛する本
(19冊) (2024年は19冊)
  考える本
(19冊) (2024年は19冊)
  泣ける本
(22冊) (2024年は18冊)
  ヤバイ本
(19冊)
(2024年は20冊)

 今年は「泣ける本」のジャンルの冊数を増やし、他のジャンルは同数に揃えているのがわかります。

 今年
(2025年)の「100冊」は、昨年(2024年)同様、各ジャンルの冒頭に「新刊紹介」、「映像化(アニメ、ドラマ、映画)」などのコーナーを設けて、今年のおすすめ本のポイントを解説しています。
 また、「読書感想文におすすめの本」等のコーナーもあり、全体的な誌面構成は昨年と大きな違いはありません。

 今年
(2025年)のプレゼントは、昨年(2024年)同様「ステンドグラスしおり」(全6種。昨年とは別デザイン。書店で1冊買うとその場でもらえる)です。
 
今年(2025年)のプレミアムカバーは、例年どおりの8種類(昨年とは別デザイン)で、昨年(2024年)のようなコラボ企画などによる限定カバーの追加はないようです。

 今年
(2025年)の「100冊」については(私のカウント方法では)94人の作家の作品(98冊)が採用されています
(私のカウント方法では村上春樹ドストエフスキーの作品(上下分冊)を1冊とみなしているので、これらの分冊を別々にカウントすればちょうど100冊になります・・・)
 今年
(2025年)の「100冊」に採用された作家の内訳をみてゆくと、新規採用作家(6人)、復活した作家(12人)、交代した作家(16人)となります。昨年(2024年)はそれぞれ5人、13人、18人だったので、昨年とほぼ同程度といえそうです。
 今年
(2025年)新規採用された現代日本の4人の作家小山田浩子千早茜原田ひ香宮島未奈はいずれも女性でした。また、今年(2025年)交代した作家には10年以上継続して採用されてきた作家はいませんでした。
 日本人作家の作品と海外作家の作品については、私のカウント方法では今年
(2025年)はそれぞれ82冊、16冊となり、採用作品全体に占める海外作家の作品の割合は16%となりました(ちなみに、海外作家作品の割合の推移はこちらの表にまとめてあります)。

 最後に、今年
(2025年)の「100冊」のラインナップから気がついたことを列挙しておきます。

 今年(2025年)も4月上旬には新潮文庫のWeb Page「ワタシの一行教育プロジェクト」のWebサイトに下の写真のような「中学生に読んでほしい30冊」「高校生に読んでほしい50冊」のパンフレット(PDFファイル)が公開されているのをみつけました。今年もパンフレットの表紙には「キュンタ」が描かれ、表紙の色は中学生向けが水色、高校生向けが赤色です(色の組み合わせは2021年のパンフレットと同じです)
 昨年(2024年)の採用作品の採用作品と比較した結果は下記の通りです
(*は今年新たに採用された作品)
中学生に読んでほしい30冊 高校生に読んでほしい50冊
* 芥川龍之介 「蜘蛛の糸・杜子春」
稲垣栄洋 「一晩置いたカレーはなぜおいしいのか」
* 伊与原新 「月まで三キロ」
上橋菜穂子 「精霊の守り人」
江國香織 「つめたいよるに」
小川洋子 「博士の愛した数式」
恩田 陸 「夜のピクニック」
角田光代 「さがしもの」
* さくらももこ 「さくらえび」
* 重松 清 「せんせい。」
瀬尾まいこ 「あと少し、もう少し」
太宰 治 「走れメロス」
辻村深月 「ツナグ」
梨木香歩 「西の魔女が死んだ」
夏目漱石 「坊っちゃん」
* 新美南吉 「ごんぎつね でんでんむしのかなしみ」
野坂昭如 「アメリカひじき・火垂るの墓」
ブレイディみかこ 「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」
* 星 新一 「未来いそっぷ」
三浦しをん 「風が強く吹いている」
三島由紀夫 「潮騒」
宮沢賢治 「注文の多い料理店」
村上春樹 「海辺のカフカ (上・下)」
山田詠美 「ぼくは勉強ができない」
湯本香樹実 「夏の庭」
* 柚木麻子 「本屋さんのダイアナ」
ヴェルヌ 「十五少年漂流記」
サン=テグジュペリ 「星の王子さま」
ヘッセ 「車輪の下」
モンゴメリ 「赤毛のアン」

交代
芥川龍之介 「地獄変・偸盗」
川上和人 「鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。」
黒柳徹子 「小さいときから考えてきたこと」
重松 清 「くちぶえ番長」
星 新一 「ボッコちゃん」
ケストナー 「飛ぶ教室」
ドイル 「シャーロック・ホームズの冒険」
* 芥川龍之介 「羅生門・鼻」
朝井リョウ 「正欲」
*安部公房 「壁」
池谷裕二 「受験脳の作り方」
*石川直樹 「地上に星座をつくる」
*伊与原新 「月まで三キロ」
岩崎夏海 「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」
上橋菜穂子 「精霊の守り人」
* 江國香織 「号泣する準備はできていた」
* 遠藤周作 「海と毒薬」
* 江戸川乱歩 「江戸川乱歩傑作選」
小川洋子 「博士の愛した数式」
小津夜景 「いつかたこぶねになる日」
小野不由美 「月の影 影の海」
恩田 陸 「夜のピクニック」
角田光代 「さがしもの」
加藤陽子 「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」
* 川端康成 「眠れる美女」
國分功一郎 「暇と退屈の倫理学」
沢木耕太郎 「深夜特急1 香港・マカオ」
*清水克行 「室町は今日もハードボイルド」
杉井 光 「世界でいちばん透きとおった物語」
住野よる 『か「」く「」し「」ご「」と「』
*高井浩章 「おカネの教室」
高山羽根子 「首里の馬」
太宰 治 「人間失格」
辻村深月 「ツナグ」
* 津村記久子 「この世にたやすい仕事はない」
中島 敦 「李陵・山月記」
夏目漱石 「こころ」
*梨木香歩 「西の魔女が死んだ」
*野坂昭如 「アメリカひじき・火垂るの墓」
*畠中 恵 「しゃばけ」
原 民喜 「夏の花・心願の国」
ブレイディみかこ 「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」
* 星 新一 「マイ国家」
三浦綾子 「塩狩峠」
* 三浦しをん 「きみはポラリス」
* 三島由紀夫 「葉隠入門」
宮沢賢治 「銀河鉄道の夜」
* 吉本ばなな 「イヤシノウタ」
* 寮美千子 編 「名前で呼ばれたこともなかったから」
*ヴァージニア・ウルフ 「灯台へ」
カフカ 「変身」
カミュ 「異邦人」
*ガルシア=マルケス 「百年の孤独」
シン 「フェルマーの最終定理」
* ドストエフスキー 「カラマーゾフの兄弟(上・中・下)」
* ヘッセ 「荒野のおおかみ」
ヘミングウェイ 「老人と海」

交代
あさのあつこ 「ハリネズミは月を見上げる」
安部公房 「砂の女」
伊坂幸太郎 「重力ピエロ」
井伏鱒二 「山椒魚」
江國香織 「東京タワー」
遠藤周作 「沈黙」
江戸川乱歩 「江戸川乱歩名作選」
小川 糸 「あつあつを召し上がれ」
奥野克巳 「ありがとうもごめんなさいもいらない森の民〜」
川端康成 「雪国」
志賀直哉 「小僧の神様・城の崎にて」
津村記久子 「サキの忘れ物」
原田マハ 「常設展示室」
星 新一 「妖精配給会社」
三浦しをん 「天国旅行」
三島由紀夫 「潮騒」
村上春樹 「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」
吉本ばなな 「キッチン」
寮美千子 編 「空が青いから白をえらんだのです」
カーソン 「センス・オブ・ワンダー」
ドストエフスキー 「地下室の手記」
ヘッセ 「デミアン」
(文中敬称略)
(2025.7.7)

新聞広告・パンフレット表紙の変遷
キャッチフレーズ・キャラクターの変遷
キャンペーン・プレゼント等の変遷
採用作品の変遷
コメント 参考資料・註
旧稿(1998), 1999, 2000-2001, 2002-2004, 2005, 2006, 2007, 2008, 2009, 2010
2011, 2012, 2013, 2014, 2015, 20162017, 2018, 2019, 2020, 2021, 2022, 2023, 2024, 2025
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