新潮文庫
夏のキャンペーン広告 新潮文庫ベスト100 新潮文庫の100冊 |
*** コメント (2022)*** |
新潮文庫の100冊 (2022年) |
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○配列
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★新規採用作家 ●復活した作家
▼交代した作家(#は10年以上継続して採用されてきた作家) |
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○コメント 今年(2022年)のパンフレットにもキュンタは描かれていますが、サブタイトルは、2015年のキュンタ登場以来使われてきた「この感情は何だろう。」から「想像力の旅に出よう。」にかわっています。新型コロナウィルスの世界的感染が未だに収束せず、急速な円安の進行やウクライナ戦争等で海外旅行のハードルは依然として高いので、「せめて本を読んで想像の世界の中だけでも旅に出た気になろう」ということでしょうか?さらに言うなら、2010年代の内向きスタイルを今後も続けても私たちの生活水準の低落傾向がいっこうに改まりそうもないので、心機一転して「外の世界」に目を向けてみよう!ということも意味しているのでしょうか? 今年(2022年)のパンフレットも、例年通りのカラフルな色で描かれたショートストーリーのスタイルです。今年(2022年)も昨年と同様に夏のモチーフは封印し、おじいさんの代わりにキュンタが本屋の店番をして風変わりな動物の来店客たちと対話をしています。 今年(2022年)の「100冊」のオリジナルプレゼントは「ステンドグラスしおり」です。TwitterやInstagramを駆使すれば抽選で「純金キュンタしおり」(昨年とは別デザイン)が当たるのは例年通りです。また、パンフレットに掲載された無署名のコラムは昨年(2021年)とほぼ同じ内容です。 なお、パンフレットには記載されていませんが、今年(2022年)の「100冊」の特設サイトにも過去のキュンタのストーリーやキュンタに関するフリーイラストページやLINEスタンプ等が公開され、今年(2022年)は新たにショート動画サービス「Tik Tok」のアカウントが開設されています。そのかわりなのか、今年(2022年)の「100冊」のWebサイトには「大人買い」のコーナーが見当たりません(2022年7月13日現在。新潮社のWeb Siteを探してみると、昨年(2021年)の「新潮文庫の100冊全点セット」と「限定プレミアムカバー」は下記のURLにありますが、どちらも品切れです)。 https://www.shincho-shop.jp/store/ProductDetail.aspx?pcd=FE0000100 https://www.shincho-shop.jp/store/ProductDetail.aspx?pcd=FE0000200 昨年(2021年)までの「100冊」Webサイトにあった「大人買い」コーナーは(私の調査では)2006年には始まっている(ただし、2006年は100冊セットのみ)ことを確認しています(「100冊」のセット販売は、さらにさかのぼり1984年から始まっています)。かつては、大人になったら子どもの頃よりも自由に使えるおこづかいが増えたことから、「大人買い」という言葉が流行りましたが、近年の物価高騰や実質賃金の低下等で「大人買い」という言葉自体が「死語」になった気がします・・・。 今年(2022年)の「100冊」は(私のカウント方法では)94人の作家の作品(95冊)が採用されています。昨年(2021年)は96人の作家の作品(99冊)の採用だったので、今年(2022年)は昨年から4冊減ったことになります(100冊以上の作品が採用されていた2000年代の「100冊」のパンフレットには、『「新潮文庫の100冊」は、キャンペーンの総称です。』という註記がありました。(私のカウント方法では)2020年以降の採用冊数が100冊未満になっていますが、これも「キャンペーンの総称」だからOKなのでしょう・・・)。 また、今年(2022年)の「100冊」に採用された作家の内訳をみてゆくと、新規採用作家(4人)、復活した作家(10人)、交代した作家(17人)となっています(昨年(2021年)はぞれぞれ6人、7人、8人です)。これは2019年の「100冊」(この時はそれぞれ、4人、12人、17人)と同じ方針(新規採用を絞る代わりに、復活、交代の作家を増やす)のように思えます。 今年(2022年)の「100冊」のパンフレットをめくってゆくと、今年は海外作家の作品が多くなったことに気がつきます。(私のカウント方法で)数えてみると、日本人作家の作品(76冊)(昨年は84冊)に対して海外作家の作品が19冊(昨年は14冊)もあり、全体に占める海外作家の作品の割合が20%になりました。採用作品数にしめる海外作品数の割合の推移はこちらにリスト化してありますが、20%以上になるのは2008年以来のことです。ここにも今年のサブタイトル「想像力の旅に出よう。」が反映されているような気がします。 以下、今年(2022年)の「100冊」のパンフレットを読んで気がついたことを列記しておきます。
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(文中敬称略) (2022.7.13) |