新潮文庫
夏のキャンペーン広告 新潮文庫ベスト100 新潮文庫の100冊 |
*** コメント (2024)*** |
新潮文庫の100冊 (2024年) |
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○配列
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★新規採用作家 ●復活した作家
▼交代した作家(#は10年以上継続して採用されてきた作家) |
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○コメント 今年(2024年)のパンフレットは黄色のテーマカラーと赤い大きなハートが目立つ表紙のデザインです。表紙には今年で10年目となるキュンタと今年のキャッチフレーズ「この夏の感情はいちどきり。」が描かれています。 今年(2024年)も例年どおりの展開と思いながらパンフレットを開くと、久しぶり(2014年以来?)に夏の読書についての巻頭の言葉が復活しています。私は例年「100冊」のパンフレットをもらうと、どんな本が「100冊」なのか知りたくて巻頭の言葉のページはほとんど読まずに飛ばしていました。この機会に過去の巻頭の言葉がどんなものか改めて読み比べてみると(過去の巻頭の言葉はこちらのページを参照)、巻頭の言葉の多くにはその年のキャッチフレーズが巧みに組み込まれていることがわかります。 2015年から昨年(2023年)までのパンフレットは、小さな町で小さな本屋を営むおじいさんとキュンタが繰り広げるショート・ストーリーの合間に各ジャンルの「100冊」採用本を紹介する構成でしたが、今年(2024年)はキャラクターとしてだけキュンタが登場し、昨年(2023年)までのようなストーリー展開はみられません。おじいさんは顔のカットが1箇所(2024年パンフレット, p44)あるだけです。 今年(2024年)の「100冊」では「恋する本」のジャンル名が「愛する本」に変わってますが、昨年(2023年)と同じ5つの区分で、各ジャンルが20冊前後にそろえられています。また、今年(2024年)は「愛する本」の前に各ジャンルとは別枠扱い(*パンフレットではジャンル不明ですが、「新潮文庫の100冊2024のWeb page」では「泣ける本」に入っています・・・)で矢部太郎「大家さんと僕」の紹介ページがあります。「文芸」作品で知られる新潮社が「100冊」キャンペーンの冒頭に敢えてマンガ作品を持ってきたのは、従来とは違うスタンスを感じさせてくれます。 さらに今年(2024年)は、各ジャンルの冒頭にも「新刊紹介」のコーナーを設け、おすすめの1冊について解説しています。 そのほか、「読書感想文におすすめの本」のコーナーもあったりして、今年(2024年)のパンフレットからは、(今までとは違う)現実的な読書への勧誘手法が感じられます(従来は(キュンタのショート・ストーリーのような)「読書の雰囲気」を匂わす手法が多かった気がします・・・)。 今年(2024年)のプレゼントは、昨年(2023年)同様「ステンドグラスしおり」(昨年(2023年)とは別デザイン。書店で1冊買うとその場でもらえる)です。昨年までの「純金キュンタしおり」プレゼントはありませんが、そのかわりなのか、今年(2024年)はプレミアムカバー2024(8種)の他に「ヨルシカ限定コラボカバー」(夏目漱石「文鳥・夢十夜」)と杉井 光「世界でいちばん透き通った物語」の夏限定カバー(パンフレットでは地味な紹介ですが、Webでは大きく紹介されています)が用意されています。 2024年7月1日に公開された今年(2024年)の「100冊」のWebサイトをみると、100冊を紹介するページの他に、フェア小冊子のダウンロード、「QUNTA PARK」(書店員向けサイト)、「Tik tok」動画等が開設されています。 また、「新潮文庫の100冊」キャンペーンは、2026年に50周年を迎えることもあってか、今年(2024年)は「100冊」の舞台裏を紹介する2つの座談会が公開されています。 *その1 『「どんな人でも好きになれる一冊がある」 - 新潮文庫の100冊フェア』 (新潮社 Recruiting site 2025 「仕事を知る」) URL: https://info.shinchosha.co.jp/recruit/work/ (2024年7月閲覧) ・・・「新潮文庫の100冊」フェアに携わったメンバーが舞台裏を語る座談会(2024年1月に新潮社のリクルートサイトのコンテンツとして公開)。 *その2 「新潮文庫、夏の100冊はじめました - 暑中お見舞い座談会 - 」 (新潮社PR誌「波」2024年7月号, p108-111) これらの座談会の記事を読むと、「新潮文庫の100冊」の準備が私の想像よりもずっと早い時期(前年の秋)から始まり、編集や営業等で相談を繰り返して翌年2月頃には「100冊」の書名が決定するのを知りました。 今年(2024年)の「100冊」については(私のカウント方法では)92人の作家の作品(96冊)が採用されています(私のカウント方法は、上・下等に分冊されている小野不由美、司馬遼太郎、ブレイディみかこ、ドストエフスキーの作品を1冊とみなしているので、これらの分冊を別々にカウントすればちょうど100冊になります・・・)。 今年(2024年)の「100冊」に採用された作家の内訳をみてゆくと、新規採用作家(5人)、復活した作家(13人)、交代した作家(17人)となります(昨年(2023年)はぞれぞれ8人、4人、13人、一昨年(2022年)はぞれぞれ4人、10人、17人だったので、今年(2024年)は2022年と同様に作家の復活に重きを置いた方針のような気がします・・・)。 日本人作家の作品と海外作家の作品については、私のカウント方法ではそれぞれ79冊、17冊となり、全体に占める海外作家の作品の割合は18%と昨年(2023年)とほぼ同じです。 最後に、今年(2024年)の「100冊」のパンフレットを読んで気がついたことを列挙しておきます。
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(文中敬称略) (2024.7.3) |