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GR Digital II + Kenko PRO1D R72 -> 赤外写真?(その1) | ||||||
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ケンコーのフィルターラインナップの中にPRO1D R72というフィルターがある。 このフィルターの特徴は「デジタル一眼レフで簡単に赤外撮影が楽しめる」とケンコーのWeb Pageにあるので、これを自分のカメラ(GR Digital II )に取り付け(ちょうどよいサイズがないのでステップアップリングを使用)、撮影〜Raw現像〜フォトレタッチまでいろいろ模索を繰り返した結果、(Web上で紹介されている多くの作品には及ばないが・・・)植物を白くして空を青くする表現ができるまでになった(こうした写真は、デジタル赤外(線)写真(Digital Infrared Photography (DIP) の分野に入るらしいが、このフィルターがわずかに通す可視光をレタッチ段階で活用しているので、"赤外"という用法が妥当なのか私にはよく分からない・・・)。 まだまだ模索中で各写真の色調はバラバラだが、いろいろな対象を撮影したものを下に並べてみた。 |
1 | 1 | *植物 このフィルターをつけると、太陽光が当たった植物の葉が白く見える。Wikipedia等で調べると、赤外写真の世界ではこういった現象をウッド効果 ( Wood Effect: Robert W. Woodの名にちなむ ) というらしい。新茶の季節に撮影した茶畑は、雪が積もった畝(うね)のようにも見え(写真1, 写真2)、白くなった三角形の樹木は、冬を思わせる風景となった(写真10)。マツ林を見上げると、背景の松葉が白くなることで、手前の松かさが黒く浮き出されて表現された(写真7b)。 *建物 直線的な形の建物と不定形の植物との対比は、赤外写真ではよく使われている。建物は、小屋(写真11, 写真14)、近代的な高層ビル(写真12)、民家(写真13)、鉄塔(写真3)のどれでもよさそうだ。実際はゆっくりと回る羽根は、写真上では高速回転しているように見える(写真4) *水 鏡のような水面(写真17, 写真18, 写真19)や噴水(写真20)、流れ落ちる水(写真15)は、赤外写真の定番モチーフであるが、自分のカメラでもこうした写真が写せるとやっぱりうれしい。亀(写真18, 写真19)や鳥(写真17の右端付近に小さくみえる)は、シャッタースピードが遅い条件でしか撮影ができない私のカメラの前でもよいモデルになってくれた。 *夜景など このフィルターをつけると、可視光の大半がさえぎられるため、光量調整用フィルターの代用に使ってみた。 空にまだ明るさが残る夕方には、白さが残る植物と自動車のライト(テールランプから光線を発しているようにも見える)を同時に表現できた(写真22, 写真23)。ゴーストが出現する傾向はあるが、夜景撮影用としても使うことができ(写真24, 写真25)、日中撮影する場合にも工夫次第で不思議な写真ができそうだ(写真26) *撮影ノート 使用した GR-Digital II は、無改造 (シャッタースピードを上げるために、ローパスフィルターを外して赤外写真専用機に改造する人もいるが・・・) で、シャッタースピードは 1 sec 〜 4sec ( 夜景撮影の場合は 30 sec 〜 )、絞りは F9、ISO 80、撮影画質: RAW、フォーカス: ∞ の条件で撮影を行った (当然ながら三脚使用)。 ホワイトバランスについては、Auto or 手動設定 ( 緑地で校正。細かい方法は参考図書*2 や Web で調べるとわかる ) で撮影したが、手動設定の方がレタッチ後のノイズが少なくなる傾向がみられた。 RAW 現像は、フリーソフト ( 私の場合、Raw Theraphy を使用 ) を使ったが、RAW 現像ソフトの違いがレタッチ後の色調にも大きく影響するようだ。 RAW 現像後のファイルは、フリーソフト ( 私は GIMP を使用 ) でフォトレタッチを行った。 RAW 現像やフォトレタッチのチャンネルミキサー機能などを使い 「空を青く、植物を白く」 調整するのは、写真によってうまくできるものとできないものがあるような気がする(原因をはっきり把握できていないが、私の経験では植物の葉を白く輝かせたい場合は、撮影の段階から注意しないと、レタッチだけで挽回するのは難しいようだ)。 このフィルターをつけて撮影した場合、撮影準備から写真の仕上げまでの間に多くのステップがある上、途中の段階では完成形をイメージしにくいため、なかなか納得のいく写真ができない (だから、うまくいった時はとてもうれしい・・・)。私の場合、いろいろな条件で撮影したいくつかの写真について、RAW現像〜レタッチの各ステップを (小学生が計算ドリルの宿題を行うように・・・) 次々まとめて行うことで、自分が使うRAW現像やレタッチソフトの細かい設定条件や適切な撮影条件等を少しずつ体得してゆく学習方式(?)をとっている。 なお、私が撮影した写真の多くでは、中央部が赤っぽくなる現象がみられたが、これは、下記の参考図書や Web 検索などによると、"Hot Spot"という、デジタル赤外写真の分野ではよく知られた現象 (カメラの機種や撮影角度によって出現) らしい。 *参考図書 デジタル赤外写真については、Webで検索すれば多くの情報が容易に得られる (日本語よりも英語のWeb Siteの方がファン層が厚い・・・) ので、ここでは私が Amazon などから入手して利用した書籍 (英語版) の感想を記しておく。 *1. Cyrill Harnischmacher 「Digital Infrared Photography」 Rocky Nook (2008) 赤外写真の総論から始まり、巻末付近に Photoshop を使ったレタッチ手法についての記述がある。作例はモノクロ / セピアが主体のため、空を青くする技法を知りたい人には不適だと思う (私は、はじめにこの本を入手して空を青くする技法を学ぼうとしたが、挫折した経験がある)。それでも、赤外写真についてひととおり書いてあるので、ある程度撮影できるようになってから読み直すと参考になる。 *2. Deborah Sandidge 「Digital Infrared Photography (Photo Workshop)」 Wiley (2009) タイトルに "Workshop" とあるとおり、実践的な記述がされている。個人的には、撮影を行うまでの準備 (フィルターの選択、ホワイトバランスの手動設定等) が丁寧に書かれているのは役に立った。フォトレタッチで空を青くする手法についての記述はあるが、それほど具体的ではない。また、日本人の目からすると、写真の域を超えたような作品も紹介されていて、デジタル赤外写真の作品表現の広さ ( 「植物を白く、空を青く」 するのは、赤外写真の分野の中では 'one of them' の表現手法であるのをこの本を読んで了解した) を知ることもできる。 なお、上に挙げた書籍に記載されたフォトレタッチの手法は、Photoshop ( <- Elementではない高価な方) の利用を基本としているので、他のレタッチソフト ( GIMP 等 ) を使う場合は、対応する機能が自分のソフト上で使えるかどうかを "翻訳" する必要がある。 (2010.7.1 記) Photo by Y. Yamauti (2010) |
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